第151章 彼はファン

南坂海乃は白い目を向けて吐き捨てた。

「病気?」

江川徹哉は両手を広げ、気の抜けた調子で言う。

「後輩さ、俺この前拉致られた件で、婚約者に『将来性ない』って見切りつけられてさ。捨てられた」

南坂海乃は鼻で笑い、瞳に嘲りを宿す。

「自業自得」

江川徹哉は別に怒りもしない。むしろ彼女の正面へ回り込み、冗談みたいな口調の奥に本気を混ぜた。

「なあ後輩。……ぶっちゃけ、俺のこと一回考えてみない?」

南坂海乃が口を開きかけた、そのとき。

少し離れた場所から、容赦のない声が割って入った。

「冥婚でもお前は無理だ」

強引に空気を割るように、野口颯汰が歩いてくる。

南坂海乃の目がぱっ...

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